静岡大学東部サテライトだより

静岡大学東部サテライト「三余塾」の記録・お知らせ

202305 FMIS「集まれ!!静大三余塾」徳岡徹先生の回

伊豆半島での活動の拠点となる「天城セミナーハウス」

静岡大学×沼津信用金庫でお送りする伊豆市コミュニティーFM「FMIS(エフ エムイズ 87.2MHz)」の番組「集まれ!!静大三余塾」
毎週月曜日16:15~16:30に放送(再放送木曜日11:30~11:45)しています。今クール(4月~6月)は静岡大学の先生が伊豆をテーマとした専門分野の講義をしています。
5/22・5/29・6/5の放送では、全3回で理学部准教授の徳岡徹先生から、「伊豆半島の植生の変遷と課題」というタイトルでお話をいただきました。

初回(5/22)の放送は、徳岡先生の学生さんたち(普段は静岡市のキャンパスにいます。)の新入生セミナーが、伊豆市茅野の棚田でおこなわれていたため、現地でのインタビューでした。(FMISの鈴木創さん、ご足労いただきありがとうございました。)
この新入生セミナーは、地域の活性化や環境保全を目指す「はちくぼ会」さんが管理されている茅野の棚田での一泊二日の田植えを通して、里山の自然環境を学生たちに知ってもらいながら、学生同士の親睦を深めるというものです。
この日は次の日におこなう田植えのために田んぼを均す「代掻き」の作業をしているところでした。機械の音が聞こえていましたが、このときにインタビューを受けていた伊豆市の地域おこし協力隊の方の話だと、「腰に紐を付けて竹で土を均していた」とのことなのですが…もし、ご存知の方がいたら教えてください。
田植えが初めてという学生も多かったようで、最初は大変だったが、美味しいお米を食べることができるように頑張る!といったコメントがありました。
お米の品種はコシヒカリで、静岡大学で「天城米(あまぎごめ)~あなたと食べたい~」というブランディングをし、地元のマルシェなどで販売しています。
先生の研究室は生物科学科ということで、米づくりと直接は関係がないものの、自然環境保護をこうした活動から学んで欲しいとのことでした。

あなたと食べたい~「天城米(あまぎごめ)」

第2回(5/29)の放送は、まずは徳岡先生の紹介から。先生の専門は「植物系統分類学」。この植物はどの植物と似ているのかということを調べ、グルーピングをして、進化の順に配列していき、そこからどのように形状などが進化をしているかといったことを探る学問とのことでした。天城山は非常に興味深い植生だということで、太平洋側でブナ林が大規模に残っているのは珍しいそうです。
静岡大学には浄蓮の滝近くに「天城セミナーハウス」という宿泊施設があり、先生の研究室はそこを拠点にして、ブナ林観察をしているとのこと。セミナーハウスから鉢窪山への登山道があり、そこの木に樹名板を付ける活動をしているそうで、鉢窪山は元々萱場であったことから、樹木の変遷を見ることができる貴重な学習の場ということです。
全国的にブナ林は衰退しており、その原因の一つがシカの食害とのこと。天城でもこの被害は大きく、天城山の現在の植生は主にブナとヒメシャラですが、今後ヒメシャラが優勢になっていくのでは?とのことでした。

第3回(6/5)の放送は、先生は学部の時は有機化学を専攻していて、大学院では熱帯の植物を研究していたという話から。伊豆半島は南からやってきたということで、亜熱帯というイメージがありますが、天城山は雪が降り、山の上は結構寒くなります。植物にとって雪が降る降らないは大きな影響があるにもかかわらず、ブナ林が大規模に残っている天城山は珍しいとのことでした。
ブナとヒメシャラを見に、ぜひ、天城山や八丁池に行ってほしい。植物を見分けることができると面白い、どこに行っても楽しむことができる。と最後を締めくくられました。

次回、6月12日(月)・6月19日(月)は、農学部教授の松本和浩先生が「園芸植物を中心とした伊豆半島地域における地域活性化」というテーマで講義をします。 

※FMISは伊豆市コミュニティFMですが下記のインターネット放送で聴取が可能です。(cromeやradimo推奨)
https://www.jcbasimul.com/?radio=fm-is

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