沼津市香貫地区センターで「住み慣れた場所で地域住民が主体となって支える地域包括ケアシステムの構築についての検討会」という地域会議が行われました。民生委員や自治会長さんたち60名ほどが集まり、地区の包括支援センター、社会福祉協議会、沼津市役所からも担当者が参加しました。内山もゼミ生2名を連れて参加しました。
そして、今回はなんと私のゼミ生の瀧川さんが「高齢男性の地域活動参加率を高めるためにはどうすればよいか」というテーマで特別講演をする機会をいただきました。
瀧川さんは先行研究や統計から男性参加に関する実態を報告し、なぜ社会参加が必要なのか、どのように支援していくべきなのかなどにつき、丁寧に説明をおこなったあと、自分が考える解決策として3つの提案をおこないました。
まず1つ目は、男性の興味関心にあった企画をすること。家の中での楽しみと外の世界をつなぐ機会をつくることを提案しました。2つ目は、参加のきっかけをつくること。広報誌や回覧板はほとんど効果はないようで、やはり身近な人や自分のことをよく知るひとからの誘いがポイントのようです。3つ目は、場にこだわらない社会参加のあり方を考えること。例えば、日常生活のなかに緩いつながりをつくることや社会のなかで何か役割をもつことができないだろうかという問いかけがありました。
具体的には、移動販売の場を活用したつながり作りや沼津市で行われている「ちょいてつサービス(ちょっとしたお手伝いを低価格で提供するサービス)」もいい機会になるのではないかと提案されました。そして、県外の事例を紹介することでより具体的な方法を提示しました。
瀧川さんの発表のあとには6つのグループに分かれ、3つのテーマ(①香貫地区として何を行うか?②男性が地域で活躍するには?③世代や分野を超えてつながっていくには?)についてグループワークが行われました。
私のもう一人のゼミ生の河野さんもグループワークに参加し、どうしたら多世代交流が促進されるかについて自分なりの考えを積極的に述べていました。
グループワークのあとはそれぞれのグループの発表が行われ、私は男性参加に関する発表に対しコメントを行いました。男性に限らず、地域参加を促進するには、互いに支え合いましょうといった正論をいくら述べても幅広い人たちを参加に導くのは難しい現状を踏まえ、やはり「知識や情報を得る」「技術をみにつける」「感謝される」「仲間ができる」「健康になる」や楽しい参加の様々な入り口のオプションをつくっておくことが大切ではないかと思います。
実は、令和3年度に実施した内閣府の孤独・孤立に関する調査によると、孤独感が最も高い割合は男性は50代、女性は30代という結果がでているのです。必ずしも高齢者だけが孤独ではないわけで、若いうちから地域との接点がもてるよう幅広いオプションをつくることが重要であると考えます。あと、男性はプライドが高いせいか、「本気」という言葉がどうも好きなようです。「本気のパン屋」、「本気の蕎麦教室」、「本気のコーヒー教室」といった学びの場は結構人が集まるとも聞いています。
いずれにしても、このように様々なバックグラウンドをもち年齢も違う地域の皆が集まり様々な意見やアイデアを出し合う場を継続してもつことで情報や課題が共有され、地域に一つの基盤ができてくると思います。そして、このような交流のなかからアイデアの一つでも実現できるといいなと思います。地域の人たちの知恵や力に光をあて、できること、やりたいことをエンジンにして前に進めるよう応援し合う、そんな関係を築いていきたいものです。