8/26放送、FMIS「集まれ!静大三余塾」のゲストは……、私、東部サテライト石川が、8/21に松崎町で開催した「松崎の深海を一緒に探ろう」というイベントについてお話させていただきました。
静岡大学とまちが連携を結び、展開しているまちづくりのプロジェクト「2030松崎プロジェクト」の中で、町の人に学びの機会を提供するという活動しているチームがあり、その主催で、8/21に夏休みの小学生を対象に沼津高専の大津孝佳教授と学生さん4名を講師に迎えた「松崎の深海を一緒に探ろう」と題したイベントを開催しました。
イベントの副題が「知らなかった!松崎町は深海に一番近い町!?」としたのですが、松崎町が深海のまちというイメージはあまりないと思います。戸田、沼津のイメージが強いですよね。
イベント開催のきっかけは、2022年12月の新聞記事で、沼津高専の「知財のTKY」という部活が、伊豆松崎マリーナからでる船に乗って松崎沖で水深2030mの撮影に成功した記事を見たことです。
東部サテライトでは高大連携を進める中で、高校探究学習サミットを過去二回開催しているのですが、二回とも沼津高専の「知財のTKY」には参加をいただいており、そうしたつながりから、「松崎町は深海に一番近い町」という話を大津教授から詳しく聞かせていただきました。松崎町にはよく行っている私にも深海のイメージがなく、町の方も知らなかったという反応であったことから、町が誇る地域資源として、深海を知ってほしいと思い、今回の企画をしました。
当日は町内の小学生10名が参加。まずは大津教授が駿河湾の海底の地形について、スライドや模型などを使って説明し、「松崎町は深海に一番近い町」という話をしたときには、小学生たちから「知らなかった~!」という声があがりました。
また、学生さん4人がそれぞれの研究、駿河湾の生物多様性、オオグソクムシの行動、クリオネの調査、駿河湾にいるイルカやクジラの調査といった自身の研究を小学生にも分かりやすく説明をしてくれました。小学生からの質問もあり、こうした交流もとてもよかったと思います。
駿河湾の海底の地形をより分かりやすくするために、粘土で海底地形のモデルをつくりました。(当日作った実物をお持ちしました。)3Dプリンタでつくられた地形のハンコを押したもので、蓄光粘土(100円ショップ「セリア」で売っています!)でつくるので、光ることでより地形の凹凸が分かりやすくなります。これは教材として素晴らしいなと思いました。これが楽しかったという感想が小学生からありました。
当日の午前中に大津教授と学生が、松崎マリーナから船に乗って、松崎沖の海の中の様子を撮影しており、「今日のまつざき」の海の様子をモニターで見せてくれました。たくさんの魚がいる様子に子どもたちは感動してました。
水深が深くなると生き物がいなくなるように思いますが、大津教授の撮影した深海の様子からは、なんと深くなればなるほどプランクトンなどから構成される「マリンスノー」が多くなるそうで、これは駿河湾の海底の地形が関係しています。焼津側の浅くなっている側、静岡側の大きな河川の恵みが流れ込んで、深海に流れ込んでいるとのこと。山の恵み、川の恵みが海に入り、深海に流れ込む。自然のつながりを感じましたし、山の整備が大事であると思いました。
午前中にはプレイベントとして、実際に1991年にしんかい2000に乗って松崎沖を調査した静岡大学の小山先生のお話というイベントを開催しました。南の海、フィリピン海プレートによって伊豆半島。そのフィリピン海プレートは、本州側のプレートに、駿河湾の深海で沈み込んでいます。そこを直接観察し、地層の特徴や年代を調べたことによって、フィリピン海プレートと本州側のプレートの境界が、駿河湾の最深部を通過していることが証明されたとのこと。伊豆の成り立ちが地質的に証明できるそのような貴重な場所が松崎沖にあるのはすごいことだと思いました。
深海の温度は低く、しんかい2000内の温度は2度とのこと。携帯トイレを持って、8時間の乗船。閉所恐怖症の方には耐えられないかもしれません。
この「松崎町は深海に一番近い町」ということを地域資源、観光にどういかしていったらよいのか?ということですが、私にはアイデアがないので、みなさんでアイデア出しをしていくのも面白いと思います。
今後、東部サテライトの持つリソースをいかした学びの場の提供や、伊豆をフィールドに研究をしたいという人を増やしていきたいです。また、沼津高専さんは、先々週沼津信用金庫の方が紹介した「ぬましんCOMPASS沼津」に拠点があるので、そこと連携し、例えば、このラジオで高専生+静大学生がお話をする、といったこともありかなと考えています。
ということで、お聞きくださった方、FMISのパーソナリティ鈴木創さん(つくるお兄さん)、ありがとうございました。