静岡大学東部サテライトだより

静岡大学東部サテライト「三余塾」の記録・お知らせ

20240415 FMIS「集まれ!静大三余塾」ゲスト 美しい伊豆創造センター 杉森さん

自然もグルメも温泉も!GWは伊豆高原

「美しい伊豆創造センタ ーの多彩な仲間たち」と題し、「美しい伊豆創造センター」職員の方からお話をいただく今クールの「集まれ!静大三余塾」。4/15放送のゲストは、伊東市出身の杉森さん。伊東のオススメスポットを教えてくださいました。

 

伊東、旬のオススメスポット

伊東市川奈の小室山山頂に新しくできたリッジウォーク「MISORA」がオススメ。山頂へはロープウェイで登ることができる小室山。この時期は山麓にひろがるツツジがきれいで、4/30までツツジの鑑賞会を開催しています。開花状況は観光協会のツツジ開花状況HPをご確認ください。中でもツツジのトンネルが絶景です。

この時期だけ「開村」する伊東市富戸の「伊豆高原たけのこ村」もオススメ。大人1,000円・小学生500円の入場料で、たけのこを自分で採って持ち帰ることができます。大人2kg、小学生1kgまで持ち帰り可能。今年は気温が低かったこともあり、ちょっと生育が遅いようです。

定番のスポットも!

道の駅マリンタウンは人気のスポット。海が見えるシーサイドスパは、なんと朝5時から営業。日によっては朝日が昇るのを見ることができます。食事するところもたくさんあり、入浴施設があることからキャンピングカーで泊まる人もいます。

伊東といえば「スイートハウスわかば」。手作りのソフトクリームが一番人気の昭和レトロな喫茶店です。ソフトクリームは味が濃厚で美味しく、定期的に食べたくなる味です。

個人的なオススメは「菓匠ひよし」の「サクサクデニッシュ」。小倉のあんと生クリームを混ぜた優しい甘さのクリームが絶品で、ロール状のデニッシュ記事に注文を受けてからクリームを入れるスタイルです。

美味しいパン屋さんが多い伊豆高原ですが、富戸に新しく東京町田から移転してきたパン屋さん「ブラウニー」さんがオープン。ちょっと分かりにくい場所にありますが、大人気で、朝7時の開店前から人が並んでいます。

GWはイベントいっぱいの伊東、ぜひ遊びに来てください。

静大生と企業・NPOマッチングイベント(4/25)に東部サテライト出展

静大で真面目な合コン」開催

静大生と企業・NPOマッチングイベント「静大で真面目な合コン」
4月25日(木) 静岡大学教育研究棟A403・404 13:00-16:00

「地域における街づくりや課題解決の活動を何かやってみたいけれど、何から始めたらよいのかわからない」という学生のために、静岡大学未来社会デザイン機構では、自治体や企業、NPO等の団体と出会う場を学生に提供する「チャレンジ2030プロジェクト」を実施しています。

今回、このチャレンジ2030プロジェクト主催で、企業・NPOと学生とのマッチングの場「静大で真面目な合コン」開催!
私たち東部サテライトも、伊豆をフィールドに自分のやりたいことに挑戦したいという学生との出会いを求め、このイベントに出展します。

 

参加予定団体

伊豆でやりたいことがある静大生!ぜひ東部サテライトのブースに遊びにきてください🗻

20240408 FMIS「集まれ!静大三余塾」ゲスト ジオパーク推進部長 金刺さん

伊豆市小下田の最福寺には珍しい八重の枝垂れ桜が!

連続ラジオ講座「集まれ!静大三余塾」、2024年4月~6月は、「美しい伊豆創造センタ ーの多彩な仲間たち」と題し、「美しい伊豆創造センター」職員の方からお話をいただきます。4/8放送のゲストは、ジオパーク推進部長の金刺さん。土肥にお住いの金刺さん、タイムリーな伊豆市の話題として、金色の外装にリニューアルした駿河湾フェリーのお話からスタート。夕日に金色が映えて、とてもきれいとのことです。

金色にリニューアルした駿河湾フェリー

伊豆に来たらまずは…

伊豆にお越しの際に、一番最初に来ていただきたいのは、美しい伊豆創造センターのオフィスがある修善寺総合会館の地下にある「ジオリア」。伊豆半島ジオパークミュージアムで、大人も子供も楽しみながらジオパークについて知ることができる。ぜひこちらを訪れてから、伊豆半島各地域の魅力を楽しんでほしいとのことでした。

伊豆市、初夏のお勧めスポット

秋の紅葉もキレイですが、旭滝(大平IC近く)の青もみじの景色が美しい。夜間のライトアップが幻想的。また、修善寺温泉場や出会い橋といった秋の紅葉スポットは青もみじの景色もお勧め。
今、ちょうどシーズンなのが、土肥小下田(こしもだ)最福寺の枝垂れ桜。枝垂れ桜では珍しい八重桜で、境内に30-40本植えられている。ピンポン球くらいの八重桜が枝先につく姿が美しい。
天城山がこれからシャクナゲの季節。登山の際には、安全のためにもちゃんとした準備、服装をして登って欲しい。周遊コースもあり、ブナ林、ヒメシャラも素晴らしい。天城自然ガイドクラブが実施しているガイドもある。

伊豆は桜の種類が豊富なので長期間桜を楽しむことができます。

新しい名物、伊豆のプリン

土肥、恋人岬の「君だけプリン」など、伊豆には多くの名物プリンがある。美しい伊豆創造センターのHPで、約25店舗を紹介しているので、ぜひ見ていただき、伊豆を訪れる際に食べて欲しい。

修善寺プリン工房さんのプリンは「竹林の小径」をイメージしたプリン

20240206 令和5年度第5回公開講座「連携・協働がひらく地域の可能性~伊豆半島賀茂地域での実践事例から~」

東伊豆町でのフィールドワーク、制作した壁画の前で📷️

東部サテライトで実施した令和5年度全5回の公開講座。2月6日に今年度最後となる5回目、阿部耕也先生を迎え「連携・協働がひらく地域の可能性~伊豆半島賀茂地域での実践事例から~」という講演タイトルでお話をいただきました。阿部先生は、静岡大学地域創造教育センターのセンター長であり、専門は社会学や教育社会学生涯学習学。社会調査やフィールドワーク、地域活性化の取り組みを通して、学習ネットワークとプラットフォーム構築のプロセスを研究しています。この日も、東伊豆町稲取でのフィールドワークを抜け出して、東部サテライトにいらっしゃいました。(稲取から東部サテライトまでは車で1時間ほど)
以下、講義の内容となります。

 

地域連携応援プロジェクトについて

2003年からおこなった調査の結果から地域創造教育センター(以下センター)の方針を変えたという経緯がある。どのような調査かというと、自治体・市町村が「大学にどんな期待をしているのか」、大学が「地域に対して貢献できそうなこと」というもので、全国160の市町村と全国の104の大学から回答をもらい、比較をした。
市町村が大学に期待することの第1位は「学生の社会貢献活動を推進してほしい」。私たち大学は、研究成果を分かりやすく住民に公開することなどが重要と考えていたが、そのような期待は市町村からはそんなに高くなく、学生を地域社会に出して色々な活動を推進してほしい、と考えていることがはっきりした。
この結果を踏まえ、文部科学省が全大学に対し、開かれた大学づくりに関する調査をおこなう際に「学生の社会貢献活動を推進する」という項目を新しく入れてもらった。これについて、9割近くが重視しているものの、なかなか取り組めていないという状況が分かり、センターでは2011年より、学生と教職員が地域と連携をして、地域の課題解決に取り組む「地域連携応援プロジェクト」を始めた。13年間で220ぐらいの応募が学内の学生・教職員よりあり、そのうち190ぐらいが採択され、ほぼ全てのプロジェクトが学生中心で取り組んでいる。

地域課題解決支援プロジェクトについて

ちょうど10年前から始まったプロジェクト。大学のキャンパスがある静岡市浜松市では、公開講座などの活動をしているが、普段大学が行かないところに行くことが大事と考え、「あなたの地域の課題を教えてください」というチラシを学外、県内だけでなく、全国に配布。最初、大学は地域で何ができるのかという意識だったが、地域が大学を使って何をやれるのかというのを地域の方々にプレゼンしてほしいということがメインとなった。例えば、商店街の魅力発掘、中山間地域の活性化、空き家改修と利活用など。学生がその地域に出かけていき、何もできないかもしれないが、とにかく課題がどんなものか教えてくださいという形で進めていった。
松崎町伊豆半島南西部に位置する人口約6000人、高齢化率約50%の町)では、津波対策の用の防潮堤を築いたら、主産業である観光はどうなるのか?ということを町役場の方に学生が説明をした。課題が発生している場でどうするか考える、そういう授業をしている。
東伊豆町伊豆半島東岸に位置する人口約11000人、高齢化率約48%の町)でも積極的にフィールドワークをおこなっており、街を歩きながら課題と同時に、お宝になる資源も見つけ、学生たちはむしろ資源の方に目を向ける。課題と資源、地域の資源を何とか活用して、この町で暮らしたいと思う人が増えれば、元の課題が解決しきれなくても大事なことなのではということを学生たちを通して学んだ。

地域創造学環の設立

平成28年からスタートしたのが、地域創造学環(以下、学環)。現在、令和5年度より募集を停止したが、様々な成果を残した。
地域課題とは、何十年もその地域でいろんな人が知恵を出して、解決してないから地域課題。頭で考えて、これが課題だというのは簡単で、研究者を一人二人紹介しただけでうまくいくはずがないということが、経験を通して分かった。地域からは、うまく解決してくれなんて思っていない、一緒に考えてほしい、上から目線のアドバイスよりも、一緒に汗をかいて作業をやったり、アンケート調査をするとか、学生が参画をしてくれるのが大事という声がある。そうすると自然に街の中も活性化して、課題を一緒に考えるということが、地域にとって活性化につながるのではないかという感触を得た。それが学環のフィールドワークなどにつながっている。県内14か所ぐらいが学環のフィールドワークのテーマになり、そのうちの3分の1ぐらいは地域課題解決支援プロジェクトに関わっている。

松崎町とトーチ(松明)型の継承

松崎町は、フィールドワーク以外の色々な多様な取り組みが生まれており、個人的には非常に思い入れが強い町。最初はフィールドワークで、地域の高齢者に地域課題や町の歴史などをヒアリングしていたが、何回かやっているうちに、町の方から「10年後、自分がいるかどうか分からない。若い世代、町から出たり、帰ってきたり、帰ってこなかったりする若い世代に向けた刺激のあることをやってほしい。」と頼まれた。町の高校や中学に、地域の課題とかお宝とかを聞く中で、大学生がどんなふうに進路を決めたかといった話をよく聞いてくれる。ロールモデルとしての大学生というのは、大人よりも身近な存在である。
こうした動きは、「2030松崎プロジェクト」にも展開をしている。中高校生が中心となって、若い世代の感性、言葉遣いで地域の課題が定義され、13の目標が作られ、それに基づいた活動がおこなわれている。また、松崎高校の総合的な探究の時間、西豆学との連携にもつながっている。高校生がまちづくりに関わっている度合いが他の町よりも高いと思う。
学環だけでなく、農学部や人文社会科学部、情報学部の学生たち、静岡大学だけでなく、常葉大学早稲田大学も、松崎町に関わっている。この地域をもっと良くしたいという課題を介していることは共通だが、様々な主体が交流して学び合う場、プラットフォームが松崎町にできてきている。
町の総合計画、マスタープランの中に「2030松崎プロジェクト」が出てくる。大学と町、教育機関、地域住民、事業者が関わっているプロジェクトが、町の一番大きな計画の中に名前が出てくるのは、他の都道府県、他の大学であまり聞いたことがない。現在の松崎町長とは、静岡大学での社会教育主事講習からのつながりで、それ以来、ずっと大学と関わり続けてくれている。
大学生と町の若い世代との交流という点で、松崎高校(卒業)の藤井天汰郎さんの存在は、学生にとっての励ましになった。

www.at-s.com高校卒業後は就職を考えていたという藤井さんが、静大生との交流を通じて大学に進むことを決め、進学で故郷を離れても、将来は起業も視野に入れ、地域を盛り上げる仕事ができたら嬉しいと語っている。地域を変えるのは外から来る人ではなく地域にいる人。それが響いて初めて、まちづくりにつながっていくと思う。
地域づくりはそれをどう継承していくかという問題があり、継承の仕方を考える場合に、これまではリーダーがバトンタッチをするモデルで考えていたと思う。これまで20年ぐらい続けてきた活動を見ると、リーダーからリーダーへではなく、誰かが灯した灯、前から灯されている灯に、小さな松明、トーチが灯をもらい、次々に広がっていくイメージ。1対1の継承ではなく、たくさんの人がたくさんの人に渡していく。バトンだと1本しかないが、松明が広がるように、じわじわ広がっていくっていうのが、イメージに近い。「松明」というキーワードを考えたのは、松崎の活動を見たからで、たいまつは漢字で書くと松の明かり、松崎の明かり。なので松崎町の継承モデルは、トーチがよいのではと思う。

空き家改修から変わる町、東伊豆町

地域課題解決支援プロジェクトで東伊豆町から出てきた課題をヒアリングに行った時から関わりが始まり、10年弱、様々な活動が展開されている。東伊豆町での活動は、フィールドワーク生だけでなく、他大学生や中学生、高校生も交え、フォトコンテストやライブアートといったイベントをおこなっている。東伊豆町での活動の中心人物は、荒武優希さん。荒武さんは芝浦工大の学生として、東伊豆町での「空き家改修プロジェクト」に関わり、卒業後に東伊豆町の地域おこし協力隊に入隊。稲取に移住し、合同会社so-an代表社員NPO法人ローカルデザインネットワーク理事長として活躍している。芝浦工大の学生たちの取り組みにより、他大学生も町に関わりやすくなっている。町から依頼された空き屋の改修、活用をおこない、そこに人がどう集い、交流できるかを大事に考えて改修をおこなっているのが素晴らしい。
こうした活動が、実は地域の人の流れも変えているのではないかと思ったのが、「東伊豆町の子育て世代の転入率超過」というニュース。東海4県でいうと、30代、40代の転入率超過の静岡県内のトップは東伊豆町。首都圏と二拠点生活の人が増えている。前述の荒武さんを中心とした、古民家を改修した移住体験施設やコワーキングスペースの整備といった動きが、転入超過を導いているのではと思う。
空き家の改修で、町の姿が変わるのか?と最初は思われていたが、学生を含め地域以外から来る人たちが流動的に活動し、連携、協働することによって、人口構成も変わってくるのではという事例になっている。
東伊豆町で活動する芝浦工業大学工学院大学明治大学静岡大学の4大学と稲取高校が、お互いの活動を発表する東伊豆サミットも開催される。(2024年3月15日に開催)

「空き家改修プロジェクト」から生まれたコワーキングスペース「EAST DOCK」

地域の持続性を考える

中山間地や半島部、伊豆半島では特に南部の賀茂地域は、人口が減少し、地域が持続しにくいイメージがある。そうした地域は、進学先・産業・就職先・情報が足りないかもしれないが、では都市部は安泰なのかというと、都市部だけで食料やエネルギーは自給できない。それだけでなく、人を自給できないことが一番深刻。そこからは生まれなくて、外から入ってくる。見え方は違うけれども、どちらも大きな問題で、特に都市部は地震が直下で起きたらどうするのか、1週間も持たないのではないか、だとしたら、地域とちゃんと交流することが大事なのではないか、お互いに相手がいなければ成り立たないと考えた方がよいと思う。

Zターンが加わり「IZUターン」

フィールドとしている松崎、稲取、南伊豆で、とても面白い人の流れを感じた。例えば、芝浦工大の学生たちは、卒業後に地域おこし協力隊になったり、NPOを立ち上げることでずっと町に関わっているが、稲取に住んだままではなく、頻繁に都市部と行き来している。これはUターン、Iターン、Jターンといった既存のターンでは表せないのではないか?
松崎町で古道を再生し、マウンテンバイクでツアーをおこなっている「YAMABUSHI TRAIL TOUR」の主催の方は、横浜出身で世界中を旅してきた人。松崎町だけではなく、伊豆半島全体を考えて活動している。
南伊豆町に拠点のある「ジオガシ旅行団」さんは、三島にも拠点があり、東京などの都市部でも活躍している。
稲取で活躍している芝浦工大生から生まれた「NPO法人ローカルデザインネットワーク」も、首都圏と東伊豆町を行き来している。
大学のフィールドワークもだが、こうしたターンを「Zターン」と名付けたい。Iターン・Uターンは移住、定住で終わってしまうが、それぞれの地域で横に活動することで、形としてはZに近い動きだと思う。
定義をすると、一回限りではなく、持続的、往還的に活動し、二拠点それぞれで交流、学習、活用があるということ。この動きをしていると、それに釣られて首都圏の人が「東伊豆って面白そう」とやって来て、それがIターンのきっかけになるかもしれない。もっと大事なのは、東伊豆出身で地元に帰るなんて思いもしなかった人たちが、都市部から東伊豆に行く人を見て、影響を受けるかもしれない。つまりZターンが、Iターン・Uターンを誘発している部分があって、それが非常に大事。
そしてこのIターン・Uターン、Zターンは、そうしたターンをしない、町が魅力的なので動かない人がいるから起こることであり、これらのターンを支えている。なので、返すものとして、地域に生まれ育った住民が誇りを持って暮らす手がかかりをZターンでつくるのが良いと思う。都市部と伊豆半島を中心とした地方を行ったり来たりしている動きというのは、そういう意味でも大事であり、大学にとっても非常に大事ことだと思う。

I・Z・U「イズ」ターン

伊豆半島に拠点を!

静岡キャンパス、浜松キャンパスがある静岡大学。東部、伊豆半島に拠点がなければ、バランスがとれないと思う。その理由の一つに、旧佐久間町に残っている「静岡大学設立講演会寄付金目標額配分表」という文書がある。75年前、静岡県民全員からお金を集めてできたのが静岡大学で、東部地域、伊豆半島の先の方まで寄付をしている。静岡と浜松だけではなく、伊豆半島の先にも同じだけ貢献しようという気持ちがないと、75年前の恩に対して罰が当たるのではと思う。

 

質疑応答より

Q:東部サテライトが伊豆半島の拠点として期待されているなと感じたが、福祉という視点からも、この場は大事だというのを感じている。サテライトに対して、こんなこともやってみたらという提案はあるか?(東部サテライト内山先生)

A:プラットフォームは、地域課題がテーマになっていることが最低限の共通の条件で、どんな風に使うかは色々でよいと思う。地域の人だけでなく、地域外の人と交流できると考えてもよい。教育と福祉を別々に考える必要もなく、色々な人と話しているところで、それ自体が福祉につながる部分があるのでは。
例として、視察に行った帯広の「電信通り商店街」は、商店街が福祉を受け持ち、社会的包摂の場を商店街の空き店舗を使うといった方法で提供している。また、北九州の魚町銀天街という商店街は、アーケードの屋根があることでホームレスに悩んでいたが、ホームレスにとって居心地がいいということは、他の人にも居心地がいいこと、と、自立支援に取り組んでいるという事例がある。

 

Q:学生が地域に出ていくということが大事ということだが、大学教員は専門を持って採用されている。学生が出ていくと、物足りない(専門性がいかせない)のでは?(地域創造教育センター山本隆太先生)

A:東伊豆町でのフィールドワークについては、自分は運転手の役割。自分が受け入れてもらう立場だった学生が、学生を受け入れる立場になっているのでありがたい。学環では、アート専攻の学生が活躍する場面が多く、それを見て、他専攻の子たちの励みになっている。荒武さんの持っている人脈とか、教員が頑張ってやれるものではない。周りの頑張りを見て、もっとやらなきゃいけないのに、できていないという焦りみたいなものがあり、物足りないといっている暇がない。

 

阿部先生は、昨年度で退官されましたが、今年度1年間は、地域創造教育センターの特任教授、また、地域創造学環の非常勤として、東伊豆町のフィールドワークを担当します。
伊豆、特に賀茂地域での事例をお伺いし、今後の東部サテライトの活動にも、大学として学生との連携が大事になってくると思いました。阿部先生ありがとうございました。

20240318 第2回青羽根柿木歴史大学

みんなで歩くと色々な発見が!大きな発見につながるかも

東部サテライト近隣地域の方を中心に、狩野城について学ぶ、ということから始まった青羽根柿木歴史大学。狩野城のことを学ぶためには、まず地域の歴史的、自然的な資源を知ることからと、第1回目は東部サテライトのある「青羽根」地区について、地域の方が先生となり、座学での講義がありました。

その中で「近くに住んでいても、現地を見ないとどこの話なのか分からない。」という声があり、今回第2回目はフィールドワークをおこなうことにしました。この日のルートは、天城小学校近くの狩野道基の祠→青埴神社→焼き場(火葬場)→龍爪神社→東部サテライトという行程。

近隣の方がきれいに管理をしている狩野道基の祠

狩野道基とは、上杉禅秀の乱で鎌倉を追われ伊豆に逃れた足利持氏をかくまい討ち死にした人物。近隣の方により丁寧に祀られています。天城小学校の校庭は「狩野牧」という地名の場所で、かつて狩野氏の軍馬の教練場であったのでは?ということでした。県天然記念物のシダレイロハカエデがある青埴神社は、古くは八幡神社と称していました。青埴とは凝灰岩などが風化してできた青色の粘土のこと。青羽根の古名です。青埴神社の近くには、現在墓石のみが残る了仙院、妙聴寺の跡があります。
ここからは車で細い山道を移動、運転に慣れている人でないとちょっと怖い道です。龍爪神社に向かう道に、昭和25年頃まで使われていた焼き場(火葬場)の跡があります。当時の建物の瓦が散乱していました。ここを見学するために、メンバーの方が前日に草刈りをしてくださいました。

当時の瓦が散乱している焼き場跡

ここでメンバーの一人が大声をあげました。場所が場所だけにかなりビックリし、声のする方を見ると、シカが角をこすった跡がありました。

最初はクマの爪痕かとビックリ!

龍爪神社までは、入口まで車で行くことができます。この道は最近整備されたとのことで、これまでは青埴神社の脇道から徒歩で登るルートだったとのことです。神社の鳥居は、メンバーの方が作ったもので、周りの木々の伐採もその方がおこなったとのこと。そのおかげで、天城連山の雄大な景色を望むことができました。  

小室石?で造られた龍爪神社の拝殿

龍爪神社の祭神は大国主命。「弾よけの神様」として信仰されています。拝殿の扁額は三島の漢学者、山口余一の書とのことです。拝殿奥の神殿は、伊豆石の「小室石(おむろいし)」なのでは?と盛り上がるメンバー一同。小室石は伊豆石の中でも高級品で、調べると伊豆の国市神島が産地とのこと。狩野川大橋近くの棒石山のことなのか?これは気になります。

弓矢の教練場?長さ約30mの堀

そして神殿の奥、前回の座学で「矢積平という地名から、弓矢の教練場だったのでは?」という疑問のあがった場所で、長さ30m、幅4mくらいの堀が!当時の弓の飛距離から見ても、弓引き場と考えてもおかしくはないと思いました。

堀切?写真だと分かりにくいので↓

そしてそして、さらにその奥に堀切?と盛土による地形がありました。地形が分かりやすいように、点群データから地形図をつくってみました。

静岡県のオープンデータより作成

この場所は、ぜひ詳しい方に調査してほしい、という話になり、下山。お昼を東部サテライトで食べて、午後からは座学。
前回は、青羽根という地域を知るために小字についての説明だったので、今回はお隣の柿木の小字について、狩野城ガイドクラブに所属している方が説明してくださいました。
柿木には狩野城があり、平安末期「狩野介」と称した狩野茂光を源頼朝が度々訪れていたことから、頼朝伝説のある場所があります。馬を洗ったとされる跡(柿之元の馬洗淵)や、月見をしたと言われる狩野城近くの月見山 など。
今回、狩野城落城の際に追われた七人の女郎が身を隠したとされる「七人女郎の洞窟」については、足場が悪いとのことで、見には行けなかったのですが、その伝承については、七人女郎の手鏡というものがあるが、江戸時代の物で時代が合わない、どこの地域にもある逸話ではないか?との見解も。いずれにしても、洞窟を見てみたいという話になりました。

午後は「柿木」地区についてを学ぶ座学

洞窟のような自然地形があって、「人が隠れられそう」なところから、そのような伝承が生まれたのか、それは謎ですが、例えば、七人女郎が追われて最期を迎えた場所では、川が血で赤くなったという伝承があり、付近には赤い土が露頭している場所があるそうです。こうしたことを調べるのも面白いですね。

20240401 FMIS「集まれ!静大三余塾」ゲスト 東部サテライト内山先生

ニホンミツバチによる養蜂に挑戦中の内山先生

伊豆市コミュニティーFM「FMIS(エフ エムイズ 87.2MHz)」にて、毎週月曜日16:15~16:30放送(再放送木曜日11:30~11:45)中の連続ラジオ講座「集まれ!静大三余塾」。2024年4月~6月は、「美しい伊豆創造センタ ーの多彩な仲間たち」と題し、伊豆半島の観光・地域活性化を目指す「美しい伊豆創造センター」職員の方からお話をいただきます。
初回は、前クールのまとめということで、東部サテライトの内山先生が登場。前回「ジオパークのひみつ」の印象に残った回からお話がスタートしました。

ジオパークのひみつ」の印象に残った回から

ジオパーク研究員佐々木さんの3回目の放送

toubusatellite.hateblo.jp

子どもが自然に触れ合う機会が減っているということで、子どもも参加する南伊豆での里山づくりの取り組みが気になった。自分の受け持つゼミ生でも子供の自然体験について研究したい学生がおり、親の意識が関係しているのでは?ということだった。
自然から学ぶことには、特に感覚的なことが多く、それが失われないよう里山づくりを通して、自然に触れあえる機会をつくるのは良いことだと思う。
東部サテライトでも入居している狩野ベースの職員室を利用し、近隣の小学校の下校時の居場所として、顕微鏡をのぞくといった大学ならではの「ミニミュージアム」開設を計画中。秘密基地のような空間をつくりたいとのことです。

福祉とジオパーク

専門・研究テーマが地域福祉である内山先生。ジオパークと福祉、一見関係がないように思えるが、ジオパークは地質や生物だけにはとどまらない、そこに暮らす人の生活そのものを持続可能にするかという視点を大切にしている。そう考えると福祉もその範疇に入り、地域包括ケアとか地域共生社会、みんなで支え合い、誰一人取り残さない地域づくりをしていく流れ中で、ジオパークも福祉との関係を切り離すことができない。
具体的にどのようにジオパークの中で、社会的包摂を実現していくかというと、一つにはジオパークが掲げるプログラムの中に、子どもや高齢者、障害のある人の意見が取り入れられるというのがある。
実際に筑波山地域ジオパークでは、多様な人が利用しやすいプログラムがある。視聴覚障害のある人でも楽しめるように、標本に触ったり、3Dの立体模型に触るといった感覚で楽しむことができるプログラムを提供している。地域資源を活用したプログラムの策定自体に障害のある人が主体的にかかわる、例えばガイドとして活躍するといった地域との交流に多様な人がかかわることが重要。みんなでつくることが普通におこなわれることが大事とのことでした。

養蜂に挑戦中

自宅での二ホンミツバチによる養蜂に挑戦中の内山先生。二ホンミツバチの飼育はなかなか難しいようで、蜂蜜の貴重さや養蜂という仕事の苦労が分かったとのことでした。内山先生の養蜂については進展がありましたら、こちらのブログでお伝えします。

手作りの巣箱、真ん中にあるのはニホンミツバチ用の誘引剤です。

次回からは、美しい伊豆創造センターのスタッフの方が登場!伊豆半島各市町村の自治体や事業者から派遣されている方がいるので、自分の住む地域のオススメスポットや地域課題など、色々な話が聞けると思いますのでお楽しみに!

20240315 伊豆未来デザインラボとイズシカ問屋見学

職人技で手際よく加工されていくイズシカ

月に1回、狩野ベースで開催している企業・自治体・大学の情報交換の場「伊豆未来デザインラボ」。
今回は、ラボのメンバーの希望者で、東部サテライトから車で10分ほどの場所にある伊豆市の食肉加工センター「イズシカ問屋」さんを見学しました。イズシカ問屋さんは、農作物への鳥獣被害対策のために捕獲したシカ・イノシシを有効利用し、市の新たな特産品とすべく建設された施設です。(現在、イノシシの受け入れは不可)「命を最大限利活用する」をモットーに、2011年より稼働しています。
この日はシカの搬入がなかったため、解体を見学することはできず、食肉への加工作業を見学させていただきました。枝肉は低温で10日ほど熟成させることで旨味をアップ。職員の方が部位ごとに加工していき真空パック、冷凍、金属探知機を通し、出荷します。職員の方の手早い職人技にみなさん驚いていました。

市の農林水産課の方から詳しい説明がありました。

こちらは見学に際し、市への申請書の提出が必要となり、金曜日のみ見学が可能です。
施設の見学後、イズシカ問屋さんがジビエ肉を卸しているお店「大地讃頌」さんへ 。イズシカのお弁当を購入しました。
イズシカ問屋さんの見学の条件に、「市内宿泊orイズシカの飲食」とあるのですが、イズシカを食べることのできるお店は、この「大地讃頌」さん、中伊豆の「るびーな」さん、修善寺駅前の「crank」さんくらいしか分からないので、もしご存じの方がいらしたら教えていただきたいです。

大地讃頌」さんのイズシカサラダ弁当、500円!

イズシカのお弁当を食べ、午後からは企業情報交換会「伊豆未来デザインラボ」。

NPOサプライズ、加和太建設(ゲートウェイ函南)、ジオガシ旅行団、静岡鉄道、スルガ銀行サイクリングプロジェクト、ドコモビジネスソリューションズの方が参加をしてくださいました。

加和太建設さんからは、ゲートウェイ函南の観光案内所に勤務をしている職員の方が参加をしています。観光案内所や物産販売所、レストランなどがある「道の駅伊豆ゲートウェイ函南」。PFI事業として加和太建設さんが運営している施設です。ゲートウェイ函南にはラジオブースがあり、静岡エフエム放送(K-mix)の公開生放送などがおこなわれています。そのラジオブースに、伊豆半島コミュニティFMのパーソナリティが集まり、能登半島地震のチャリティ番組を予定(3/20)。応援メッセージをお客様にも読んでもらうという企画があるとのことです。

毎回、先進的な技術を紹介してくださるドコモビジネスソリューションズさんからは、漁業のスマート化についてのお話。海に行くと見かける「ブイ」。そのブイにセンサーを実装した「ICTブイ」によって、水温や塩分濃度などの海洋データを計測し、そのデータを蓄積、解析することで、養殖の質をあげていくという取り組みがおこなわれているそうです。また、カメラは水が濁ると見えないので、超音波による養殖の生育のモニタリングをおこない、魚の大きさと数を測定し、生育段階別に分ける作業に使用しているとのこと。魚の浮袋の特徴から超音波で判定するという説明に驚きました。

静岡鉄道さんは、3月24日にオープンの音羽町駅前の古いビルをリノベーションした商業施設「shiiito」を紹介。shiiito.com

カフェやクラフトビールをあつかうお店などがあるそうです!