静岡大学東部サテライトだより

静岡大学東部サテライト「三余塾」の記録・お知らせ

20230712 下田高校南伊豆分校「植物工場」見学

サラダ用ほうれん草などの葉物野菜を栽培しています。

ICTやAI技術を活用し、省力化・作物の高品質化を可能にする新しい農業「スマート農業」。昨今の異常天候で野菜の供給が不安定化する中、屋内で環境を人工的にコントロールしながら農作物を栽培する施設である「植物工場」が注目を集めています。この植物工場を学校として所有し、授業で使用している全国でも珍しい高校が伊豆にはあります。

花きの温室ではカーネーションを栽培

下田高校南伊豆分校は名前の通り、伊豆半島の南端、南伊豆町にある高校。全日制園芸科の高校です。生徒数は全学年合わせて約60名。この南伊豆分校を今回、東部サテライト内山先生、松崎町地域おこし協力隊の方と見学させていただきました。
まずは屋外の圃場。この日は生徒さんがテストということでいませんでしたが、未来伊ZU CAMPUS(賀茂地区の若手実業家有志の勉強会)の方がトウモロコシの収穫をしていました。他にもこども園や松崎の特別支援学校など、地域の方との交流も盛んなようです。露地の圃場では、トウモロコシのほかにスイカやキュウリ、ナスといった作物、ハウスではカーネーションを授業として生徒さんが栽培しています。

光源はLED、完全に環境を制御された中での育苗

植物工場は育苗施設と生育のハウスに分かれており、まず「苗テラス」という温度・光・培養液・炭酸ガスなどを自動制御できる設備で約10日間育苗します。栽培品目は、サラダ用ほうれん草やロメインレタス、水菜、ルッコラ、春菊など。
育苗施設で育った苗は、生育のハウスに運ばれ、水耕栽培用定植パネルに植えられます。約18日で出荷できるほどにまで育ちます。元々土耕のハウスに防草シートを貼った上に栽培用のベッドを置いている施設なので、完全に虫害などを防げるわけではないですが、定植→収穫までが短いこともあり、虫害は少ないそうで、無農薬で育てています。

横に広がる根。少ない水の量で効率良く育てています。

販路は近くの道の駅「道の駅 下賀茂温泉湯の花」や下田東急ホテル、近くのこども園などですが、出荷作業、配送も先生方がおこなうことから、近くにしか販路がないとのことでした。また、サラダ用のほうれん草などは、地域ではまだ馴染みがないようで、販路の開拓が大きな問題のようですが、授業の時間で…ということを考えると中々難しいようです。

無農薬で安心、高校産というのもポイントなのでは?

お土産に葉物野菜のミックスされたものをいただきましたが、とても柔らかくて食べやすく、無農薬、高校生が作っているという付加価値をいかして、なんとか伊豆の特産品とならないかと思いました。今後、大学と連携していけることがあれば、連携をしていきたく、進捗はまたブログでお知らせいたします。