静岡大学東部サテライトだより

静岡大学東部サテライト「三余塾」の記録・お知らせ

20230825 伊豆ビジネスセミナー 登壇者:美しい伊豆創造センター 林田充氏

美しい伊豆創造センター 林田充様の講演

最近、新聞で伊豆の市長・町長の台湾へのトップセールスがニュースになっているのをよく見かけませんか?そのキーパーソンとなっているのが、今回のビジネスセミナーでお話をいただいた一般社団法人 美しい伊豆創造センター(以下「美伊豆」)の常務理事、林田充様です。
セミナーでは主に、日本のインバウンド政策についての問題点と、美伊豆の台湾をターゲットにしたインバウンド戦略についてお話をいただきました。

日本のインバウンド政策の誤謬

「インバウンドに力を入れていきたい!」国内どこの観光地でも言われていることかもしれないが、日本が拡大に取り組んでいるのはインバウンドのみ。例えば、台湾は国民の21%が訪日しているのに対し、日本は1.7%しか訪台していません。インバウンド拡大には航空座席数の増加が必須。ですが、日本人も海外に行かないと就航便は拡大しません。「相互交流」をしない、一方通行はいずれ破綻することになる。

美伊豆のインバウンド戦略

初めて日本に来た外国人観光客は、東京 富士山を見て京都というパターンで伊豆には来ない。考え方を変えると伊豆は未開拓の市場!
リピーター集客とがカギと考えている中で、台湾からの訪日客はリピーター率が高く、親日家の方が多いことからも美伊豆としてはターゲットを台湾に絞っていく。特に富裕層が日本を訪れるが、伊豆には富裕層を受け入れる施設がないことはネック。かといって、一般客の行かないところには富裕層も行かないので、富裕層のみをターゲットにするのは無理がある。
台湾からの一般客集客のために何をすべきかについては、プロモーションなどをおこなうよりも「そのまま売れる」ツアー商品の提供が必要。ツアーを作る上で、季節は冬に絞る。海外の方にとって、雪化粧をした富士山を見ることが何よりもの楽しみ。
熱海、伊東には来たことがあっても、中伊豆や西伊豆に来たことのある台湾の人は少ない。そのため、中伊豆・西伊豆への台湾の方へのモニターツアーをおこなったところ、ジオサイトタカアシガニなどが好評だった。

質疑・感想より

伊豆の南側は自然資源があり、それをツアー商品企画に入れ込むことで、地域の観光が伸びると思うのだが、何かヒントがありますか?
→他が真似できない、ここを売りたいという仕掛けを中心としたツアーをつくることが重要。例えば、今海外の方に人気なのは西伊豆小土肥の築100年の古民家をリノベーションした一棟貸の宿泊施設「勝呂邸」。

台湾の方は日本の何を気に入ってリピーターになっているのか?
→街がきれい、食べ物が美味しいという2点は必ず言われる。台湾の言葉を話すことができれば、台湾の人はそこをリピートすると思うので、そこはチャンス。

林田さんからしかお聞きすることのできないお話を聞くことのできた貴重な時間でした。インバウンドは一方通行ではダメ、「そのまま売れる」ツアー商品が必要、といったことが印象的でした。

今回の内山先生作の看板もスゴイ!

次回のビジネスセミナーでは、静岡県下最大級の農業法人「鈴生(すずなり)」の代表取締役社長 鈴木貴博様からお話をいただきます。