静岡大学東部サテライトだより

静岡大学東部サテライト「三余塾」の記録・お知らせ

20240311 FMIS「集まれ!静大三余塾」ゲスト ジオパーク研究員 佐々木惠子さん 3/3

伊豆急行さんとの事業「SDGsトレイン」車内の様子

前回に続き、ジオパーク研究員の佐々木さんからのお話です。

ジオパークの3つの柱、「保全」「教育」「SDGs

ジオパークの研究員の仕事に就くまでは、ジオパークの役割は「保全」が大きいと思っていたが、ジオパークは「保全」、地域の資源の大切さを教える「教育」、「持続可能な社会の実現」という大きな3つの柱で成り立っており、保全はもちろんのこと、教育やSDGsについてに力を入れている。
大切なパートナーである地域のジオガイドさんと連携し、伊豆半島地域資源を子どもたちにワークショップやトークショーなどをおこなうことで情報を周知をしている。
伊豆箱根鉄道さんとは、沼津商業高校さんの協力によりジオスポットを紹介する「いずっぱこGEO TRAIN」を運行。伊豆急行さんとは、伊豆半島の持続可能な活動に取り組む人や団体を社内の掲示で紹介する「SDGsトレイン」を運行している。ジオパークSDGsにどのように貢献できるかの書籍も出しているとのことでした。
ジオパークは認定されたらずっとジオパークとして指定されるわけではなく、4年ごとの審査がある。前回審査時に指摘された問題点がクリアできているかを示さなければならず、審査に受かってから2年後には国内の審査、次の年はユネスコの審査員の審査があり、きちんと対応しないとジオパークでなくなってしまう。以前は地質的に大事なところを守っていこうというところが大きかったが、今は地質と生態と文化、すべてに対応した持続可能なものにしていくことを目的としているとのことです。

「明るい森」と「暗い森」

使われなくなった森林をもう一度人が使えるようにしていくため、南伊豆町では広葉樹を植える取り組みをNPO法人「伊豆未来塾」さんがおこなっている。そこで、広葉樹を植えることがなぜ良いのかということについて、子どもに伝えるための講演を(佐々木さんが)おこなう。木材需要のために植林されたスギやヒノキといった針葉樹の人工林には人が近づかなくなる。そのことで、人間と自然の関わりが少なくなってきた。クヌギといった広葉樹を植えることで、動植物が増え、そこで椎茸栽培といった営みも生まれ、人と自然の関わりが増えてくる。
子どもたちには、植物名を当てるクイズなどをしながら、いろいろな植物を紹介することで「明るい森」と「暗い森」の違いを学んでもらう。針葉樹は年中葉があるので、森に日が入らず、落ちた葉が分解されないことから土中の種から芽が出ず、暗い森のままになる。広葉樹だと冬には葉が落ちて陽が入り、夏も葉が薄いので陽が入る。葉が分解されることで、土中の種から芽が出て、たくさんの生き物が集まる。
ガイドツアーなどを通して、こうしたことを知ることで、これまでと違う認識ができるようになる。これからも伊豆半島の大切な資源を情報発信していていくため、ワークショップやトークショーなどをおこなうので、伊豆半島ジオパークのホームページをチェックしてみてくださいとのことでした。

佐々木さん、3週に渡りありがとうございました。昨年10月にジオパーク研究員に着任された佐々木さん、東部サテライトのイベントにもご参加いただき、その知識の広さに圧倒されています。サテライトでも子どもたちに自然の大切さを学ぶイベントをおこなっていきたいので、今後ともよろしくお願いいたします。