静岡大学東部サテライトだより

静岡大学東部サテライト「三余塾」の記録・お知らせ

20240226 FMIS「集まれ!静大三余塾」ゲスト ジオパーク研究員 佐々木惠子さん 1/3

皮子平のブナ林(理学部徳岡先生撮影)、動物との共存には森林保全が必要

伊豆半島ジオパークには現在、3名の研究員の方がいらっしゃいます。辻さん、遠藤さんのお話をこれまでにいただきましたが、最後は昨年10月に就任されたばかりの佐々木惠子さんからお話をいただきます。佐々木さんの専門は生態学、まずは生態学とは何か、というお話からスタートしました。

ジオパークいきものがかり」の佐々木さん

横浜生まれ、横浜育ちの佐々木さん。10月に着任し、伊豆にはだいぶ慣れてきたとのこと。ジオパークの「いきものがかり」として、生態学を専門に活動されています。生態学とは生物学の一つ。生き物単体から生き物の暮らし、自然の成り立ちまでを調べていおり、動植物と環境との関わりを調べている。
伊豆半島には生き物の情報があまりない。静岡県生物多様性地域戦略を見ていると、伊豆半島については地質のことはよくわかっているが、今後の課題は生物多様性についての情報を追加していくこと、と書かれている。植物の調査などの資料があっても、活用されずに眠っている。まずは眠っている情報を集めて、生態系の情報を整理していこうと思うとのことでした。

ツキノワグマ出現から考える人間と動物との共存

伊豆半島の生態系のホットな話題はツキノワグマの出現。

digital.izu-np.co.jp

伊豆関係の資料にはクマはいないと書かれているが、丹沢や富士山が近く、そこには熊の研究をしている人もいる。森林はつながっているので、つたって伊豆にくることはできるし、繁殖もしていると思う。
(共存できるのか?という問い)
里山の管理放棄で、人間と動物を分けている境、バッファーゾーンがなくなってしまった。そこを戻すためには、山の奥に食べ物があることが必要であり、ブナ林とかドングリがある環境が大事。食べ物に困らない森林を維持し、人間と動物が距離を置いて住むことができる空間づくりの必要がある。
天城だとシカが多く、ブナ林を育成しようとしても、下層植生を食べてしまうため、育たない。シカ問題を解決しないと健全な森が育たない。シカが増えた原因としては、天敵がいなくなってしまったこともある。昔はニホンオオカミがいてシカの増殖を防いでいた。猟師さんの人口も減っている。増殖しすぎて餌となる草が減り、本来はお腹をくだしてしまうことから食べないアセビまでを食べている状況。増えすぎると食料がなくなるという状況は人間と同じ。生態系については、固く考えずに人間と同じと考えてもらえるとよいとのことでした。

次週につづきます。