静岡大学東部サテライトだより

静岡大学東部サテライト「三余塾」の記録・お知らせ

20240304 FMIS「集まれ!静大三余塾」ゲスト ジオパーク研究員 佐々木惠子さん 2/3

山焼きによって維持されている「草原」、大室山(小山先生撮影)

前回に続き、ジオパーク研究員佐々木さんからお話をいただきます。生態系が専門の佐々木さん、東部サテライトで開催した野鳥観察会

toubusatellite.hateblo.jpに参加してくださったお話からスタート。
(伊豆半島で珍しい野鳥は?)
自分は植生が専門だが、伊豆半島はタカなど猛禽類が面白いと聞いている。伊豆半島はその成り立ちから、城山などの高い山や崖が多く、高低差があるところを猛禽類は好む。猛禽類の宝庫という視点で山を見てみてほしい。野鳥観察会の下見に同行した際には、ハチを食べる猛禽類「ハチクマ」がいた。ハチクマはスズメバチも食べるとのことです。

伊豆半島の植生、ここが面白い!

伊豆半島は「ブナ林」があるところが面白い。太平洋側は温暖なのでなかなかブナ林がないが、伊豆半島は標高が高いので分布している場所がある。標高が高いところは落葉広葉樹林、低いところは潮風が吹いて暖かいので常緑広葉樹林、海岸には海岸性の植物、海の中は海藻と地形に合った植生が分布している。
日本の面積の66%森林だが、1%草原がある。一番広いのは阿蘇で、各地に点々と存在しているが、伊豆半島には大室山と細野高原という山焼きによって維持される草原があることが面白い。
(山焼きはなぜ必要?)
昔は、牛のエサや肥料、茅葺き屋根の材料として生活に草が必要だった。草原は放っておくと森林になってしまうため、山焼きによって調整をしている。現在は生活上の必要はなくなったが、文化、観光の面から山焼きが残っている。

植生に興味を持ったきっかけと仕事のやりがい

子どもの頃から生き物が好きで、実際にはまったのはアメリカシアトルの高校に通っていた時。園芸の授業があり、ビニールハウスで園芸植物を育てたり、地域の植物を外で観察したり、植物の見分け方を学んだりし、最終的には地域の植物を使って庭園をデザインした。この授業を通して、植物のことを知っていれば、緑豊かな街、都市、住みやすい空間をつくることができると思い、植物に関わる仕事に就きたいと思った。
これまで培ってきた生態学のスキル、知識と情報を集めていかすスキルをいかし、生態のまだ分かっていない伊豆半島に対して、自分が働きかけ、集めた情報を地域の発展のために使っていくことは大きなことだと思う。子どもたちに、イベントやワークショップといった機会を提供することで、自然環境や文化に触れてほしいとのことでした。

次回に続きます。