静岡大学東部サテライトだより

静岡大学東部サテライト「三余塾」の記録・お知らせ

20230915 伊豆ビジネスセミナー 登壇者:農業生産法人株式会社鈴生 代表取締役社長 鈴木貴博氏

農業の新しい可能性や取り組みを知る内容の濃い1時間半でした

今回、9月15日の伊豆ビジネスセミナーは、静岡市に拠点を構え、大手外食チェーンなどのレタスの契約栽培をメインに、農業を軸とした幅広い事業を展開している農業生産法人株式会社鈴生の代表取締役社長である鈴木貴博氏に「農業の可能性は無限大」というタイトルでお話をいただきました。
太陽光型植物工場や農福連携、松崎町での養蚕復活プロジェクト、伊豆未来デザインラボ参加企業のNTT西日本さんや静岡ガスさんとの取り組み、脱炭素への挑戦など、とにかく内容の濃いセミナーとなりました。

鈴生の企業概要

鈴生本体は研究をおこない、事業として上手くいくということになれば会社を作っていくという経営モデル。露地栽培・農福連携・物流といった事業をおこなう会社を傘下に持つグループとして運営をしている。
経営理念は「おいしさを求めて」。「作物は育てているのではなく育つ手助けをする」という感銘を受けた農業の師匠の言葉について、人材育成についても同じように考えており、若手の育成に力を入れている。今年は12名の新入社員が入社し、平均年齢32.8歳という若い世代が活躍している会社。
契約栽培、オーダーメイドで野菜を生産しており、全量、播種前の契約。台風などで収穫できない場合も、正直に話すことで、契約先と一緒に野菜を作り上げていく。
農業が資材の高騰や天候不順といった多くの課題に直面する中で、自分たちのつくる野菜の価値を消費者に分かってもらうためにも新しい農業の仕組みづくりを先駆者的に進めていく。

農福連携「すずなりカレッジ」と太陽光型植物工場

太陽光を利用した大規模な植物工場を磐田市で運営しており、そこで就労継続支援A型B型事業所「すずなりカレッジ」を立ち上げ、農福連携を進めている。4年制で卒業時には鈴生さんや取引先で働くことができる可能性があるほか、植物工場の中に大企業のサテライトオフィスを持ってもらい、企業の社員として働いてもらうという構想もある。

畑わさび事業

NTT西日本さんとわさびの田丸屋本店さんとの事業。イチゴの高設栽培のハウスを利用し、畑わさびの養液栽培にチャレンジ。わさびの葉と茎としての価値を売っていく。この技術とシステムも福祉事業に取り入れていきたい。

松崎町での養蚕復活プロジェクト

早場まゆの産地として世界的に有名であった松崎町で、養蚕業を復活させるという現在計画中のプロジェクト。コンテナにソーラーパネルを付けた施設で蚕を飼育し、まゆからシルクプロテインを採取する。現在、トレーサビリティの確保されたまゆはなかなかなく、松崎町で栽培されている桑の葉によりオーガニックでまゆを作ることに注力。松崎は養蚕業は現在おこなれていないものの、桑の葉の生産とお茶への加工はおこなわれている。現在ある桑葉加工工場を輸出に対応できるよう(有機JAS取得)にし、世界の安全なマルベリー茶ニーズに対応していきたい。エコエネルギーで作られているという付加価値は海外のほうが高い。このプロジェクトが始動すれば、誰もが働くことのできる新しい雇用の創出、空き家・耕作放棄地の解消といった町の発展につながる。有機JASの取得に町の人も前向きで努力がすごい。もっと新しいことができると感じた。
静岡大学未来社会デザイン機構が協力機関として事業に加わっています。

ソーラーシェアリングによるソバ栽培

静岡ガスさんとの事業。元々農地だった荒廃した山林を農地に戻すため、ソーラーシェアリング(農地に支柱を立て上部空間に太陽光パネルを設置する)で有機ソバを生産。パネルの下では人工衛星を利用した自動運転のスマート農機を使用し、作業をしている。ソーラーパネルの設置には最初は反対だったが、荒地を農地に変える提案を静岡ガスからもらったことから賛同。優良農地ではやる必要がないという考えである。

広島県江田島市でのレモン栽培

広島県江田島市と包括連携協定を締結し、レモン栽培を中心にまちづくりをおこなう計画を進めている。単に業者に出荷するだけではなく、レモンの栽培から出荷までの間に観光や食も混じえながら、地域にちゃんとお金が回る仕組みを計画している。伊豆でもこの取り組みをおこなえないか?「契約栽培の一歩先」を目指している。

食品リサイクルループへの取り組み

スーパーなどと協力し、通常よりも高い単価で契約栽培、スーパーから出た食品残さを畑に入れるという食品リサイクルループを提案。環境に配慮した野菜を販売しているという付加価値を付けられる。学校給食の残渣を堆肥に変えて地域で野菜を作り、その野菜を給食で利用するというリサイクルループもある。静岡市では一般廃棄物処理業許可がなくても食品残渣を堆肥として活用するならば買い取っていいという画期的な法改正があったことからも食品リサイクルループは今後一気に加速すると思う。

質問・感想から

「農業と観光ということを考えると、松崎での養蚕復活といった取り組みを伊豆市でもできないかと思った。」
「養蚕復活プロジェクトで使用するソーラーパネル付きのコンテナユニットについて、見た目の問題があると思うので、1階の空間を地域のスポットに利用してみては?」

鈴木様のアイデアと行動力、農業に対する熱い想いに驚かされてばかりの1時間半。参加者の方からの「どうしてそんなにたくさんのアイデアが出てくるのか?」という質問に「考えることが好き」と答えていらっしゃったのが印象的でした。
東部サテライトとしては、松崎町での養蚕復活プロジェクトを2030松崎プロジェクトと何か形で連携ができないかと考えています。農業チームとの連携はもちろん、高校生に取材をしてもらうといったこともいいなと思いました。

貴重なお話をいただき、ありがとうございました!

鈴木様、貴重なお時間をいただきありがとうございました。