静岡大学東部サテライトだより

静岡大学東部サテライト「三余塾」の記録・お知らせ

20250609 FMIS「集まれ!静大三余塾」木村さん、大仁金山愛を語る

百笑の湯駐車場から見た大仁金山浮遊選鉱場跡

6/9 FMIS「集まれ!静大三余塾」のゲストは東部サテライトスタッフの木村さんでした。
木村さんは伊豆市瓜生野出身の地元愛溢れる人物。今回は、個人的な活動としておこなっている「大仁金山」の保全活用についてにはじまり、伊豆の金山・鉱山愛を語っていただきました。

 

浮遊選鉱場は東洋のクリスタルパレス

伊豆市修善寺の時之栖さんの「百笑の湯」の駐車場に車を停めると、目の前に巨大な大仁金山の「浮遊選鉱場」という産業遺構がドーンと残ってます。今は基礎のコンクリートだけが残ってるのですが、幼い頃まではとてもかっこいい木造7階建て構造の建物が残ってました。ガラスは割れたりしていましたが、西洋風のガラスが特徴的な建物で、建築的にも歴史のある珍しいもので、美しいものだったので「東洋のクリスタルパレス」と呼んでいただきたいです。

この遺構には、非常に価値があるのではないかと思っているのですが、伊豆市の史跡などになっていません。大仁金山だけではなく、実は伊豆には「伊豆の金山三十五カ所」と言われていたぐらいによる金山がいっぱいあり、全盛期には2万人ぐらいの鉱夫の方が働いていたという一大産業だったのですけども、今操業しているところはありません。

大仁金山には「帝産ヘルスセンター」という温泉施設があったんです。(以前、FMISでこの帝産ヘルスセンターのCMソング知ってる人を募ったが誰もいなかった)「瓜生野には金が降る」といった歌詞と聞いています。帝産ヘルスセンターも今や貴重な歴史の1ページとなっており、公の資料になかなか残っていないことから、現在、温泉を運営している修善寺時之栖さんに資料があるかを聞いたところ、帝産ヘルスセンターや大仁金山の資料が残っていて、それを見せていただきました。

 

保全・活用に向けて動き始めています!

その中の写真には、昭和12年とか13年だと思いますが、新築の浮遊選鉱場が写っているものがあったり、素晴らしい資料が残っていて、ぜひこれは地元の人をはじめとした人に見ていただきたいと思い、時之栖さんとそうした機会を作っていこうとしているところです。
その一つとして、修善寺時之栖(金山ヴィラや百笑の湯など)宿泊者の方限定で、朝の金山ウォークという、社有地なので普段立ち入り禁止となっている浮遊選鉱場の跡を見ていただけるような機会を準備しています。

大仁金山という名前から伊豆の国市と勘違いされる方も多いですが、大仁金山は伊豆市瓜生野にあります。ここは江戸期から開発されていて、江戸時代には瓜生野銀山とか瓜生野金山と呼ばれていたのですけれども、帝國産金興業(現在の帝産観光バス)が昭和に再開発したときに大仁金山という名前が付けられました。大仁駅の前に足湯がありますが、あの温泉はこの大仁金山の金の試掘から湧き出た温泉を大仁橋の下を通して引いている温泉なんですよ。

「金出るところ湯も出る」ということで、金山と温泉という文化も面白いと思います。金を取りたいのにお湯が出て邪魔だなとなるところを地域の人や働く人の癒しとしての温泉施設として提供していた帝産ヘルスセンターも面白いですし、それを時之栖さんが引き継いでいらっしゃるというところも面白いなと個人的に思ってます。

物心ついたときはすでに大仁金山は廃墟で、その周りをいつも犬の散歩をしていた時に、地形とか、この遺構の意味って何だろう?と思ってましたが、最近国会図書館デジタルで検索したところ、実測して図面を描いた人のデータにたどり着きました。それも皆さんに見ていただけるように図面を描いた方に許可を取ったので、地域の方とかに見ていただける機会を作りたいと思ってます。

普段は立ち入り禁止の場所なのすが、見ていただかないとこの価値はわからないと思います。何よりかっこよくて存在感がある。歴史、景観、産業と文化に結び付いていて、「沼」がいっぱいあるんですよ。

10年前ぐらいに散歩してたときに、坑道の入口が土砂災害で埋まったときがあったのですが、時之栖さんが重機で掘り起こしてくださっていて、観光として使うためかと思っていたら完全な善意だったようでした。伊豆市文化財でもなければ、普遍的な価値を認められているわけではない状態なのに、時之栖さんは価値のあるものだから埋めてはいけないと思ったのか、掘り起こしてくださって、それを見てきたので、時之栖さんには勝手に恩義を感じています。
百笑の湯で温泉に入って、これは金山から湧き出た湯で、当時は鉱夫も入ってた温泉であるという物語をぜひ味わっていただきたいですし、その帰りに浮遊選鉱場を見上げてかっこいいと思ってほしいです。

自分は地形などが好きなので、廃墟の建築の跡もかっこいいと思いますが、その周りの微小な地形とかも知ることができると面白いと思っています。大仁金山周辺にも遺構が残っているのですけど、いかんせん看板などがなく皆さんに知ってもらえる状況ではないので、安全と不法侵入のリスクを考えつつも、安全に見ていただけるところはちょっと看板をつけたいなという話を時之栖さんとしています。

百笑ミーティングでみなさんに向けて話をする木村さん

「百笑ミーティング」を発足

実は「百笑ミーティング」という大仁金山の保全を考える会を立ち上げまして、最初は大仁金山だけだったのですけれど、参加している方で湯ヶ島金山の研究をされている方がいて、伊豆は鉱山がたくさんあるので、一つだけではなくて伊豆の金山群として包括的に見た方が面白いし、それでこそ価値があるというアドバイスをいただきました。

百笑ミーティングは、金山、鉱山跡地の保全や調査をしたい方のコミュニティになればいいなと開催していますので、興味のある方はぜひ資料や写真といった情報を持っているよという方がいらっしゃったらぜひそこに情報を寄せていただけると助かります。

佐渡金山にも浮遊選鉱場があり、そこは国の重要文化財なんですけど、大仁金山の浮遊選鉱場は佐渡金山よりも1年早く着工しています。このことは百笑ミーティングに参加している時之栖の方もとても強調していることで、大仁金山は本来であれば国の重要文化財レベルのポテンシャルがあると。
これを文化財に、という話になるかはわからないですけれども、今は資料が散逸しているので、これをみんなで知った学んだりできるようにしていきたいと思っています。

 

百笑ミーティングについての詳細はこちらをごらんいただき、情報などのある方もこちらから教えていただけますと助かります。

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