静岡大学東部サテライトだより

静岡大学東部サテライト「三余塾」の記録・お知らせ

【Cliff Edge Project うぶすなの水文学】

東部サテライトから車で20分ほど。伊豆市貴僧坊で11月11日まで「Cliff Edge Project(クリフエッジプロジェクト)」さん主催の「うぶすなの水文学」という展覧会が開催されていおり、静岡大学も後援をしております。
アーティストの方のお名前や展示作品につきましては、公式のホームページを見ていただいた方が正確だと思いますので、感想などを。

カワゴ平の石と土を使った陶芸作品

第一会場
八百万の神を産んだといわれる「イザナミ」が、火の神「カグツチ」を産む際に女性器を火傷し、苦しみの中で水の神様「ミズハノメ」が生まれるという神話から生み出されている陶器の作品。カワゴ平の石と土を使って生み出された作品は、流れている映像作品と相まって、見る人によって色々な解釈ができるのではないかと思いました。

昭和35年から52年まで使われていたという簡易水道の跡

第一会場から第二会場までは徒歩で5分ほど。ですが、道の途中に昭和35年から52年まで使われていた簡易水道の跡などがあり、散歩を楽しむことができます。

展示されている漆畑夏樹さんの作品はここの湧水で溶いた墨汁を使用しているとのこと

第二会場
作品を見る際、ちょっと引いて周りの荘厳な風景と見ると、なんとも言えない気持ちになります。水神社の賽銭箱の隣に置いてある「御朱印」。近くにお住まいの方がデザインされたものとのこと。
その方が神社の隣にあるワサビ田と湧き水を案内してくださいました。このワサビ田は住民の方が管理されていて、その収益を神社の修繕とかに充てるそうです。湧き水に続く飛び石の並んだ風景がとても素敵。ところどころにサワガニがいて「黄色いメスが美味しいんです!」とのことでした。コーヒーにこだわる方が、この湧き水を汲みに遠方からいらっしゃるそうです。

飛び石を伝って行くと湧水を汲むポイントへ

第二会場から第四会場へ ワサビ田を見ながら徒歩で5分ほど
第四会場
まず、ヤギ!と驚きます。ここは「山羊除草研究所」。今回の作品ではなく、本当に除草のお仕事をするヤギを飼い、レンタルをしている研究所です。ちょうどこの日は、伊東駅の除草で一か月働いていたヤギが帰ってくる、とスタッフの方がおっしゃっていました。作品はヤギのエサを保管している小屋に展示されています。ここで使われていたというストーブを使った作品。中を覗いて見てください!

小屋の中のストーブを覗いてみると…。ヤギの写真を撮り忘れました。

第四会場から第三会場へ 道祖神に手を合わせ徒歩で10分。この道祖神は伊豆の道祖神について多分一番まとめられていると思うホームページ

izu-dosojin.sakura.ne.jp

によると「伊豆市-47-伊豆型」とのことです。

第三会場
第三会場は民宿カプリコーン、カプリコーン?さてはと思った方は鋭いです。こちらは先ほどのヤギを飼われている方の経営している民宿です。
ここは八岳(やつおか)地区の風土などを研究してる「田崎健一」さんが調査するための拠点としている作業小屋。田崎健一さんは巡検に出ており、多分会える機会はないでしょう。田崎さんが「祭壇(ちょっとここはうろ覚え))と呼ぶ、貴僧坊周辺で撮られた写真が貼られた部屋からは気に入った写真を一枚持って帰ってよいそうで、実際に写真を手にここがどこなのかを聞きながら歩いていた人がいた、と地域の方がおっしゃっていたそうです。地域の方とコミュケーションがはかれる仕掛け、これって面白いですよね。

この地域の田んぼに見られる「権現さま」を再現

第一会場に戻り、離れたところにある第五会場へは車で3分。
第五会場
第五会場の倉庫は河津町で切り出した一本の杉の木から削り出して造られた船が展示されています。そして実際に伊豆の国市の神島橋から沼津市我入道浜まで狩野川をこの船で下った記録が映像で流れています。舟をつくる際にでた端材に風景の写真をプリントした作品も素敵です。

天城の森の木から切り出した舟で狩野川を下るというロマンあふれる挑戦

この作品を見て思い出したのが、東部サテライトの近くにある軽野神社。狩野川の名前の由来はいくつかあるそうですがその中の一つに、狩野川の源流域では昔、造船が盛んにおこなわれており、この船が「枯野(かの)」「軽野(かるの)」と呼ばれていたからという説があり、これはカヌーの語源では?という説も…。軽野神社は、伊豆国に造船を科した際の造船所跡と言われているそうです。

車は第一会場に置くことができますので、上記のような回り方をするのがよいかなと思います。できれば秋晴れの日だと、周囲の散歩も楽しめますので、ぜひぜひ中伊豆貴僧坊にお越しください。