静岡大学東部サテライトだより

静岡大学東部サテライト「三余塾」の記録・お知らせ

20230824 中国西安での社会保障シンポジウムに参加してきました(内山)

8月26日、27日の2日間にわたり、中国の西安市社会保障国際シンポジウムが開催されました。日本、中国、韓国から研究者およそ100名が集まり、それぞれの国の課題や対策等について交流を行いました。

今回の訪問は、コロナ後の約3年ぶりの訪問となり、まず北京に降り立った瞬間に何とも言えない懐かしい想いがこみ上げてきました。2018年から2020年まで国際協力機構中国事務所に勤務していた際に、私が昼休みの時間によく散歩していた川の両側もきれいに整備され、今ではサップやカヤックで遊ぶ市民の姿も見られました。(川で泳ぐ高齢者の方たちも多くいます、写真右下の肌色軍団がその人たち)

市街地の中心を流れる川は市民の憩いの場となっている

さて、北京から西安までは飛行機で約2.5時間。そして、飛行場から会場の陝西賓館までは車で約1時間。西安は昔は長安と呼ばれ、唐の時代には首都でもあり、日本からも空海をはじめ多くの日本人が学んだ場所でもあります。習近平さんの父親の故郷でもある陝西省は近年国際会議等も頻繁に開催され、大きく発展しているようです。

会場は、とにかく大きすぎで移動がとても大変でした。

今回のシンポジウムは、「国家の近代化と社会保障の高質発展」というテーマで、少子高齢化社会保障費の逼迫等の共通の課題を抱える日中韓が、マクロやミクロの視点から様々な研究成果を発表し合いました。

私自身は、中国のコミュニティ(社区)介護の在り方に興味があり、数年にわたり研究してきましたが、コロナ禍の3年間を経て、特に財政的な逼迫が原因でコミュニティケアの推進も多くの課題を抱えているようで、試験的に導入されている介護保険の展開も前途多難のようでした。

会議で印象的だったのは、中国人研究者の問題意識の変化です。少し前までは、共産党が掲げる政策のポジティブな側面が多く語られてきた印象がありましたが、今回の発表では、制度の狭間の問題、スティグマの問題など、より個別課題やマイノリティの問題に焦点をあてた研究が多くみられたように感じました。これはとても大事なことだと思うので、正直少し安心しました。

 

現在、日中関係は難しい状況にありますが、こんな時だからこそ、学術界や青少年の交流などはより頻繁に行う必要があると思います。互いによく理解し合うという行為をやめてしまうと、関係に進展はありません。憎しみや嫌悪感からは何も生まれないと思います。そんなことを肝に銘じて、中国研究にこれからも励んでいきたいと思います。

最後に食べ物の話。陝西省はおいしい麺類が食べられる場所で有名です。日本でも(多分)最近話題になった「びゃんびゃん麺」もその一つ。幅広の面にひき肉やトウガラシがのったもの。街にでて本場の味を楽しみたかったのですが、会議期間は全く時間が取れず、最後に空港でやっと出会えました。が、空港で食べたものは、やはりいまいちで、またどこかでリベンジしたいです。

これで、びゃんびゃんと読みます。この漢字の字数!絶対に書けません。

味にはがっかりでした。