静岡大学東部サテライトだより

静岡大学東部サテライト「三余塾」の記録・お知らせ

20230923 地上最強の生物「クマムシ」観察会

初めて見る「クマムシ」に大興奮!

低温・高温・真空・高圧・放射線と過酷な環境に耐えることができる「地上最強生物」として、注目されている「クマムシ」。東部サテライトでは初の小学生向けイベントとして「クマムシ観察会」を9月23日(祝日)に開催しました。

クマムシとはなんぞや?と思われる方も多いと思います。体調1mm以下の水生微小生物で、「ムシ」とありますが昆虫ではなく、4対8本の脚を持ち、正確には「緩歩(かんぽ)動物」と呼ばれる生き物です。もしかすると小学生の方が、下水処理場見学の際に「ゲスイクマムシ」の働きについて説明があるそうで、大人よりも知っているかもしれません。
静岡大学キャンパスミュージアムクマムシの研究・展示をしている宮澤俊義先生と東部サテライトの内山先生が知り合ったことから、宮澤先生の多大なご協力をいただき、この観察会を開催する運びとなりました。

クマムシ博士の宮澤先生からクマムシの講義

当日は嬉しいことに近隣の小学生で定員一杯。まずは宮澤先生がスライドでクマムシについて説明…とすでに、一人一台セットされた顕微鏡がみなさん気になる様子。あらかじめ宮澤先生が用意をしておいた「ヨコズナクマムシ」を顕微鏡で各自観察し、メモを取ったり絵に描いたりしました。色がオレンジ色だったことから、エビみたいという声がありました。クマムシもですが、他のミジンコなどに興奮する子も。
このクマムシですが、特別な場所に生息しているわけではなく、みなさんの住んでいる場所、特に道路脇にある苔(ギンゴケ)にいることから、実際に外に出て苔を採取。希望者は宮澤先生に提出し、先生がキャンパスミュージアムで調べてクマムシがいれば連絡をもらうことにしています。ちなみにですが、東部サテライトでも何回か近くの苔を採取して、採取した苔を水につけ1日置いたものを観察したところ、クマムシも確認できました。

みんなの家の近くにもクマムシが!

そして、本日のメインイベント!「クマムシの休眠復帰実験」です。クマムシが様々な過酷な環境に耐えられるのは、脱水した仮死状態のとき。クマムシは乾燥した休眠、仮死状態から、水を得ることで復帰することができるんです!先生の用意した、あらかじめろ紙に取って乾燥させてある休眠状態のクマムシにスポイトで水をかけます。これを顕微鏡で観察、最初は点のようだったものが、10~15分たつと動き始めます。これにはみなさん大興奮。その時に、クマムシが生き返る(休眠から覚める)ということは、クマムシは死ぬことはあるの?
という質問があったことから、急遽先生への質問タイムへ。
・    ゲスイクマムシと他のクマムシとの違いは?
・    クマムシの色が黄色に見えるのはなぜ?なぜ色の違いがあるのか?
・    クマムシという名前はどうして付けられたのか?
・    クマムシは電気を通しても生きていけるか?
といった多くの質問があり、会が終わったあとにも先生に質問をしている子もいました。

気づいたことはメモや絵で記録、みなさん真剣です。

最後にクマムシ研究の最新の話題などをスライドで説明。休眠から水を得て復帰する状況を食品の分野に応用できないかということや、まだまだ生態に謎も多く、新種を発見できるかもといった可能性いっぱいのクマムシ。宮澤先生のいる静岡大学キャンパスミュージアム

wwp.shizuoka.ac.jp

では、常時クマムシを展示しており、他にも色々な展示がありますので、ぜひお越しくださいとのことです。

参加してくださった皆さんからの感想は、クマムシを見ることができて、知ることができて楽しかったという嬉しいものでした。中には外でコケを取るのが楽しかったという感想もあり、また、今後どのようなイベントに参加したいかという質問に、虫や魚の観察という回答が多く、外に出て何かをするということに、みなさん興味があるのだなと分かりました。

愛らしい姿で一部の熱狂的ファンもいるクマムシ

小学生向けの初めてのイベントということもあり、至らない点が多々あり、顕微鏡でクマムシをちゃんと確認できなかったという意見もいただきました。改善できる点は改善をしながら、第二回目のイベントも早速企画していきます!