静岡大学東部サテライトだより

静岡大学東部サテライト「三余塾」の記録・お知らせ

20230921 「ひかりを灯すしま」から生まれたつながり

今日は、絵本「ひかりを灯すしま」の著者であり順天堂大学病院で理学療法士として働く河原一剛さんと、「おもしろ自転車」を手がけるオートクラフト・IZUのメンバーの皆さんと打合せを行いました。河原さんとは以前

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でご一緒したのをきっかけに知り合い、オートクラフトさんには学生のフィールドワークで何度もお世話になっています。打合せ、といっても特に何かを決めなくてはいけない、というものではなく、これから何か一緒にできることはないかな、ということをテーマに自由に語り合う、そんな会でした。

 

まず驚いたのは、河原さんの事前学習の深さです。そういえば、以前のトークイベントの際にも、河原さんは私の書いた論文や発表資料などを事前にかなり調べ上げ(笑)、初めて会ったにもかかわらず、周囲の誰よりも私のことを知っていたことに驚いたことを思い出しました。でも、相手が自分のことに興味をもち調べてくれる、こんなうれしいことはありません!この真摯に人と向き合う姿勢はなかなか真似できるものではありませんが、私も心掛けていきたいです。

 

今回、河原さんは事前学習として、『自転車の歴史』という分厚い本を図書館で探し出し、それを熟読していました。海外の自転車の発展の歴史、自転車と健康の関係性、自転車の特徴ある形に隠された意味など、オートクラフトさんの自転車作りのプロもうなるほどの知識を既にもっていました。

話は自転車の話から健康の話題に、、、人間には「心」「肺」「筋」の3つがバランスよく強化されることで、「体力」が高まるという仕組みがあるということです。まさに、自転車で大腿筋を鍛えることで、心臓や肺機能が強化され、身体の質を高め、健康になり結果として長寿につながるということらしいです。そんな身体の仕組みを自転車の機能と重ね合わせ、前輪が肺、後輪が腎臓、中央に心臓といった身体の部位を自転車の構造として落とし込み、親しみやすい人体自転車をつくる案なども河原さんから提案され、絵に描いて皆に見せてくれました。皆興奮状態でした!

そして、握力は実は全身の筋肉量や身体機能を測る重要な指標なんだそうです。つまり、握力を測ることで身体の状態が分かるというのです。ということは、自転車で身体を鍛える効果を図る一つの手段にもなるということで、おもしろ自転車の健康に与える効果もこんな測定方法で実証してもいいかもしれません。

 

オートクラフトさんが発明する自転車には人を引きつける不思議な力があり、知らない者同士が自転車に共に乗ることで、乗せてあげる乗せてもらうという関係を越えたつながりが生まれます。気が付くと、子どもから高齢者、障害者の誰もがいつの間にか笑顔になっているのです。近年、インクルーシブ公園の取り組みが各地で注目を浴びていますが、オートクラフトさんがこれまで作ってきた「おもしろ自転車」は、まさにこのインクルーシブな取り組みのきっかけを既に作ってきたといっても過言ではないでしょう。

 

そんな自転車の魅力に目をつけた河原さんは是非この自転車をリハビリにも活用できないか、ということで、今お二人は新たなモデルの開発を進める計画です。私はそんな「おもしろ自転車」をつかって、大学の東部サテライトを拠点に、誰もが交わるインクルーシブサテライトを構築できないかと考えています。まだ、構想段階ではありますが、元幼稚園であるサテライト施設をもっと地域の人が気軽に立ち寄り、子供から大人までが学び合い語り合いつながり合う、そんな場所にできたらいいなと思っています。

 

伊豆半島ジオパークで有名ですが、このジオパークをどのように福祉と融合させることができるか、つまり、インクルーシブなジオパークってどんな姿なんだろう、と最近いつも考えています。これだ!という答えはなかなか見つからないのですが、私はジオパークを推進する過程で、これまであまり関心をよせてこなかったその地域の成り立ちやそこに暮らす人々の営みや歴史に目を向けることが第一歩だと思います。河原さんもジオパークと連携し絵本の作成を計画しているようで、とても楽しみです。

 

こうやってみんなで集まり、それぞれの想いを語り合うこと自体が縁を紡ぎ、何かを生み出す最初の原動力となるのだと思います。奇跡的な出会いから互いを知り、もっと知りたいという思いから関係を発展させる、その延長線上にはきっと温かい「ひかり」があると信じて、ワクワクすることに挑戦していければいいな、と皆さんと話していて改めて思いました。

2時間近くがあっという間にすぎました

伊豆の世界に包まれることで人間に必要な居場所があることに安堵し、周りの関係のなかで自分の命が輝くことができるということに気づく、そして、世界に対し伊豆半島から温かなひかりを灯し続け、平和のありがたさについて発信していく。河原さんや高田さんとお話ししていると、そんな伊豆半島をつくることも夢ではないかもしれないと思わせてくれるのです。